入手困難とあきらめていたサイトウキネンフェス。今年は病気で休んでいた小沢征爾復活でますます無理だと思っていた。ウチにレッスンに来る生徒さんの母から突然の電話でチケット2枚あるのですが、とのこと。即答で「買います!」
会場の松本市民芸術劇場も初めてである。駐車場に苦労すると聞いていたので、15時からの公演のところ、12時半過ぎには会場に到着していた。
今回の公演はオラトリオということだったので、舞台演出に関しては何の予備知識も持っていなかった。小沢氏がオ-ケストラピットに姿を現すと、会場からはひときわ大きな拍手が沸いた。
私はこのメンデルスゾ-ンのオラトリオに関してはまったく予備知識はなかった。しかしほんの短い間パンフレットの解説を読み、実際の演奏が始まって、両脇のテロップに歌詞の訳が流されていくのを見ていたら、この楽曲の持つ意味、奥深さ、現代に通ずる内容に、どんどん引き込まれていった。しかもシンプルながらかなり芸術性の高い背景をはじめとする舞台に、オペラそのものを髣髴させた。
自分を信心深いとか宗教的と思ったことはあまりない。しかし、途中の教会でのオルガン伴奏を思い起こさせる4重唱、ラストのア-メンの合唱の余韻で、知らないうちに頬を涙がつたっていた。
歴史は繰り返す。色々な意味でそう思う。民衆はいとも簡単に強いものに煽動され真実が見えなくなるときがある。自分の立っているところをもう一度見直したいと思った。見極めるのは自分自身である。