この頃入手した「リズム運動」全音楽譜出版社 E.J,ダルクロ-ズ著板野平訳—の訳者序文に いたく感銘を受けた。・・・・・・・この教育法は「人間の感覚機能を根底から育て築き上げようとする教育である」と思うようになっていた。・・・・・従来から日本で行われている音楽教育にも、数々の良い点が挙げられよう。しかし、それらの教育に、このリトミック教育の教育内容がほんの少しでも加味されたら、更にすばらしいものとなるであろう。ダルクロ-ズ博士も述べているように、本書「リズム運動」は、リトミック教育を十分ほどこされた教師だけが使用する資格があるのである。しかし私は、このすばらしい音楽教育を、可能な限り普遍化したいのである。そこには危険性もともなうがであろうが、普遍化することにより、多数の人々の叡智と経験によって、現在の日本の音楽教育に適合した教育内容が生まれてくるだろうというプラス面を、私は考えたいのである。・・・・・この文章は1970年の6月に書かれた。でも私の受けた音楽教育の中にはリトミックはまったくあらわれなかった。教育学部の音楽科の課程にもまったく である。
せめて教職を目指す学生にはであってほしい このことは 今の私の切なる願いである。リトミックは今取りざたされている総合学習に似た側面があると思っている。良いと分かっていても それをやる大人が育っていない現状。総合をやりましょう リトミックをやりましょうではなく それをちゃんと子どもたちに伝える大人をどうやって育てていくかということが重要だと思う。こういうことは誰もが考えていることだと思うのになぜ具体化しないのか?そこが私には分からない。