絵本を読むのではない。物語を全部暗記する。そして何度も練習して自分のことばになった時、初めてこどもたちに語ることができる。そういう活動をしている人のお話を聞いた。今回語った方は三水地方の方で、お話もしたがってあえて三水の方言で語って下さった。
私の母は戸隠というところの出である。今は亡き祖母はまさしくこの三水地方の方言を使って話していた。だから今回のお話はなんだか私の耳にとても心地よく届いた。忘れたくない方言だ。かえるをげえろという。まっくろかえして飛んでった は大急ぎで走っていったということである。あなたのことを われ ともいう。そんなことばのつながりがすっかり忘れていた子どもの頃の祖母の家の記憶を呼び起こした。広い土間。薪のふろ。外にある厠。お蚕さんを飼っていた名残の広い広い部屋。囲炉裏。そこでそばを打つ祖母のしぐさの一つ一つ。テレビやアニメの昔話の中でない確かな私の記憶の中にある風景。できればその場所にもう一度身をおきたいと思った。自分の子どもたちにもそのときのたくさんのにおいを嗅がせてあげたい そんなことを強く思った。
雨がずっと降っていて、気持ちもしっとり落ち着いた。